患者さまお一人おひとりとじっくり時間をかけて向き合っていく、西武川越病院のリハビリテーション科。療養型病院ならではの喜びややりがい、チーム医療の実態などを、前後編にわけて5人のスタッフたちに聞いてみました。今回の後編では、当院のリハ科のやりがいをご紹介いたします!
穴井 美穂 (写真中) PT 主任 2010年4月入職
水泳、バレー、バスケ、サッカーなど、小学生の頃から様々なスポーツに親しんできたことがPTをめざすきっかけとなった。
野田 竜輝 (写真中右) PT 2012年4月入職
小さい頃から野球一筋で、高校では野球部キャプテンを務める。最後の夏が終わった後、校長先生のすすめでPTの道へ。
増渕 和貴(写真右) OT 2018年4月入職
元・野球少年。中学時代に怪我をしてリハビリを受けたことをきっかけに、リハビリという仕事を意識するようになった。
熊田 昂基(写真中左) OT 2019年4月入職
高校時代に妹さんが入院。入院中にリハビリを受け、楽しそうな笑顔で取り組む妹の姿を見て、この仕事に興味を持つ。
岩科 望美(写真左) ST 2018年6月入職
手塚治虫の『ブラック・ジャック』が大好きで、医療職を志す。文系ならではの資質を活かし「言葉」を入口にSTの道へ。
患者さまの『ちょっとした変化』が、やりがいに。
野田: 療養型の病院だと、一朝一夕でリハビリの効果が出るということは少なくて、でも、試行錯誤を重ねていくことで、徐々に変化していく。これを感じ取れることが…。
穴井:ちょっとした変化が、本当に嬉しいよね。
野田:そうなんですよ! 僕たちPTの場合、例えば筋力が落ちていて立つことができない方がいらっしゃるとする。でも、下肢の筋力はなくても上肢の筋力が残っていれば、下肢は僕たちが支えて、上肢は患者さまご自身に支えていただくなど、患者さまの身体に残った機能を見つけて引き出して差し上げていく。そうしてリハビリを重ねていった結果、今では軽介助で立つことができるようになった患者さまもいらっしゃるんです。
熊田: 中にはリハビリに対する拒否感をお持ちの患者さまもいらっしゃるんですが、コミュニケーションを重ねるうちに少しずつ前向きなお気持ちになってくださると嬉しいですね。OTの場合、患者さまご自身のお身体の状態は変わらなくても、環境…例えば、お食事の際にスプーンを変えてみたりすることで、介助なしでお食事を楽しむことができるようになったりします。
増渕:生活の中で少しずつ患者さまのできることが増えていくと、この仕事をしていて良かったなと思いますよね。
岩科:表情が明るくなったり、雰囲気がおだやかになられたり、それだけでも嬉しい。できることが増えていくたびにやりがいを感じるよね。
仲間同士、日々の喜びを分かち合って。
岩科: そういえば、熊田さん、一緒に担当していた患者さまで、ずっと身体を起こすこともなく、話しかけてもお身体をさわってもご反応がほとんどない方がいらっしゃったじゃないですか? 私、自分たちに何をして差し上げられるのかずっと考えていたんですが、ある時「この方、歌はどうなのかな?」と思って歌ってみたら、すごくおだやかな雰囲気になられて、鼻歌のように少し歌ってくださって。嬉しくて、すぐ熊田さんに報告しちゃいましたよね。
熊田:岩科さんが「患者さまが歌ったよ!」と報告に飛んできてくれて。僕もすぐに駆けつけて、一緒に歌っちゃいました。
穴井:私のご担当している患者さまの中に、入院して5年くらい経つんですが、最初は寝返りも打てなくて手足も動かせなくて、車椅子にお乗せするのも全介助というご状態だった方がいらっしゃるんです。その方が車椅子を漕げるようになったというのが、ものすごく嬉しかったですね。前に、岩科さんも担当されていた患者さまで。
岩科:そうそう! もう、私もすごく嬉しくて。
穴井:ずっとご状態が変わらない中で、それでも徐々に、ご自分で足を動かされるようになってきてはいたんですよね。もしかしたら、介助したら立てるようになるのでは?と思ってトライしてみたら、軽介助で立てるようになったんですよ。腕も動かそうという意志がおありのようだったので、試しに車椅子のハンドルを持っていただいたら、持つことができて、徐々に漕げるようになっていったんです。
増渕:僕たちは普段から連携を意識していて、特にミーティングという形を取らなくても、常に声を掛け合い「報・連・相」を心掛けていると思うんですけど、その積み重ねが結果につながっていくんですよね。
野田:リハ科は上下関係もそんなになくて、先輩とも上司とも気軽に話せるんですよね。その空気感が、質の高いリハビリにつながっていくんだと思います。く